冬眠から覚めた探査機「ロゼッタ」
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冬眠から覚めた探査機「ロゼッタ」
- いよいよ彗星に着陸! -
米バージニア州で、2014年10月28日午後6時半ごろ、
国際宇宙ステーション(ISS)に物資を運ぶ
無人補給船「シグナス」を搭載した
オービタル・サイエンシズ社のロケット「アンタレス」が、
発射から数秒後に爆発、炎上、落下した、
というニュースが入ってきた。
「アンタレス」には噂されている通り、
宇宙通信を保証する暗号装置が
ほんとうに積み込まれていたのだろうか。
宇宙関係の話は、最先端技術の塊である一方、
不思議な謎がつきまとっていることが多く、
それ自体が
ひとつの魅力になっている面もあるような気がする。
でも、もしほんとうに積み込まれていたのなら、
その回収は、それはそれは急がれていることだろう。
ここに書いた通り、アポロ計画が終了してすでに42年、
最後のスペースシャトルが飛んでから3年が経った。
NASAの技術者もオービタル・サイエンシズ社のような
民間企業に多数移っているという。
それでも、大型ロケットの打ち上げは
安全が確立されたようなものではなく、
まだまだ困難な大事業ということなのだろう。
だからこそ「成功」がニュースになるとも言えるわけで。
宇宙での「成功」と言えば、
あのニュースはどうなったのだろう?
今年の1月、冬眠から覚めた欧州宇宙機関(ESA)の
彗星(すいせい)探査機「ロゼッタ」だ。
「冬眠から覚めた探査機って何?」という方、
11月にビッグニュースが飛び込む前に一緒に復習しよう。
「ロゼッタ」は、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に、
着陸機「フィラエ」を投下する目的で、
2004年に打ち上げられた探査機だ。
2011年6月、軌道を回っていたロゼッタは、
太陽からの距離が遠くなり、太陽光パネルによる
十分な発電ができなくなったため冬眠モードに入る。
機体の温度を保つヒーターなど
必要最低限の機器以外はすべて電源オフ。
二年半もの間、完全に音信不通となってしまう。
そして沈黙の二年半が経過。
今年、2014年1月20日、セルフタイマで起床したロゼッタは、
一連の復帰動作を自動で実行した後、
8億km以上離れた地球に向けて「起きたよ」を送ってきた。
「目覚め」を知った関係者はどれほど嬉しかったことだろう。
ロゼッタの軌道は、
この動画で立体的に見ることができる。
なんて複雑な軌道なのだろう。
で、この11月、
ロゼッタが着陸機「フィラエ」を彗星に投下する。
10年前に打ち上げた着陸機が、
いよいよ目的地に着陸するのだ。
うれしいニュースが飛び込んでくることを
今から楽しみにしている。
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