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2014年8月 9日 (土)

世界ことばの旅 (4)

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世界ことばの旅 (4)

- 4つの過去、3つの未来の時制 -

 

研究社の「世界ことばの旅」というCDからの
世界のことばの話、4回目。
(以下水色部はCDまたは小冊子からの抜粋)

Photo

 

【4-1 ベトナム語】

ベトナム社会主義共和国の共通語のことで、
同国の50を越える諸言語のうちの
群を抜いて最大の話者数5900万余りを持つ言語。

カンボジア語とは比較的近い関係。

前回【3-2】で取り上げた
国内に200を越える言語と種族をかかえているインドネシアは
同国で最大の話し手を持つジャワ語を共通語とせずに、
「理念の上での国語」インドネシア語を共通語としたようだが、
ベトナムでは「最大話者」を優先したようだ。

それにしても、ベトナムにも50を越える言語があるようだ。

 

【4-2 シンハラ語】

スリランカ民主社会主義共和国の公用語、話者数約1100万人
この言語は文語と口語の差の大きさで知られ
とりわけ社会的方言に特色があり、
敬語が発達している反面、
地位の低い者への特別な語法や、卑語がある。

日本でも明治時代に「言文一致運動」があったように、
それまでは文語と口語の差はかなり大きかった。
同じような差があるということなのだろうか。
それにしても久しぶりに聞いた気がする。
「文語」という言葉。

 

【4-3 ヒンディー語】

英語と共にインドの公用語で、
州レベルの公用語のうちでのもっとも有力な言語。
話者数は約2億6000万人といわれ、
中国語、英語についで世界第三位の母語人口を有する

言語の一つの力「話者の数」という点で
この言語ははずせない。
文字はサンスクリットと同じデーバナーガリー文字で、
線の下に吊り下がった形は特徴的だ。

デイヴィッド クリスタル著、斎藤 兆史・三谷 裕美 訳
「消滅する言語―人類の知的遺産をいかに守るか」中公新書

には、次のような記述がある。(以下茶色部引用)

上位の8つの言語
(標準中国語、スペイン語、英語、ペンガル語、
 ヒンディー語、ポルトガル語、ロシア語、日本語)だけで、
24億人近くの話者がいる

そして、上位20位の言語まで含めて数えると、
総数32億人となり、世界人口の半分を越える。

さらに下位まで分析を進めると、
最終的には世界のたった4%の言語が
全人口の96%によって話されていることがわかる

「4%の言語が96%の人口をカバー」と聞くと驚くが、
この本では世界の言語数を(特定できないとの解説もつけて)
「大ざっぱに6000」と言っているので、
4%でもざっと240言語くらいはイメージされていることになる。

ちなみに、上位8言語のうちのひとつ、ベンガル語が、
どこの国の言葉かご存知だろうか。

バングラデシュ人民共和国の国語だ。
豊かな文学を持つことで知られ、インド国歌及び
バングラデシュ国歌の作詞・作曲者であるタゴールは、
アジア人初のノーベル賞受賞者
だ。(1913年ノーベル文学賞)

 

【4-4 トルコ語】

話者数は全体で4500万人をこえるといわれ、
そのうち、4200万人余りがトルコに住む。

8つの短母音と3つの長母音の11母音、25の子音がある。
長母音は外来語に限られており、
8つの短母音は、前の方で発音される母音と、
後の方で発音される母音の2種類の分類され、
その2つが1語の中に共存することのない
「母音調和」という現象がある。

文法には
述語が文末にくることや、
「てにをは」に当たるものが語の後に続くなど
日本語に似ているところもあり、
日本人には比較的習得が容易な外国語といわれ、人気がある。

文字は1928年からラテン文字になったが、
それ以前はアラビア文字が使われている。

【2-3】のモンゴル語にも登場した母音調和。
一語の中に現れる母音の組合せに
一定の制限が生じるというものだが、
ほかにも、フィンランド語やハンガリー語など
地域や民族を越えて、いくつもの言語に現れる現象のようだ。

文法や言語学的構造というよりも、
「言いやすい」とか「聞き取りやすい」とか、
そういった
生物の器官としての制約から来る特徴のような気がするのだが、
そういったことに触れた説明は探してもどこにもないので、
トンチンカンなことを言っているのかもしれない。

トンチンカンついで、思いついたことを書いてしまうと、

「おビール」「お紅茶」
と言う人はいても、
「おウイスキー」
と言う人がいないのも、似たような理由からだと思うのだが、
これではまさに脱線しすぎかもしれない。

失礼しました。

 

【4-5 ギリシャ語】

ヨーロッパにおいてラテン文字を除く、
唯一ともいえるギリシャ文字に代表されるように、
紀元前14-12世紀からといわれる古い文献を持ち、
現代に至るまでに
古代ギリシャ語、中世ギリシャ語、近代ギリシャ語
の時代を経ている。

しかし、それにもかかわらず
依然として古代ギリシャ語ほどでないとしても、
屈折的タイプと見なされる文法を保持している。

名詞は3つの性、単複2つの数、4つの格、
3つのタイプの曲用
を持ち、
動詞は現在、4つの過去、3つの未来の時制
その他のカテゴリーがある。

でました!
その影響力と三千年を越えるという歴史を考えると、
独特な存在感をはなっているギリシャ語。

文法が複雑だという話はよく聞くが、それしても、

名詞に、
 3つの性、単複2つの数、4つの格、
 3つのタイプの曲用
があるばかりか、

動詞は
 現在、4つの過去、3つの未来の時制

って、一体どれだけ複雑なのだろう。

4つの過去、3つの未来っていったい何?
英語の時制ですら苦しんでいる身としては、
おそれすら感じてしまう。

 

田中克彦著「ことばと国家」岩波新書
にはこんな記述もある。(以下薄緑部引用)

ギリシャ人は、
ギリシャ語を話さぬ他のすべての民族のことを
バルバロイ(バルバロスの複数形)と呼んだが、
それは「どもる者」という意味であった。

「どもる」と言われる行動の定義はともかくとして、
ここで言おうとしていることは、
なにかロからオトが出てはいるが、
そのオトはまともなことばになっていないという判断である。

すなわち、バルバロイとは人間ではあるかもしれないが、
ギリシャ人の目からすると
ことばをしゃべらない人たちのことを指したのである

すなわち、ギリシャ人にとっては
自分たちの話していることばだけがことばであって、
その他にことばはなかったのである。
言いかえれば、ギリシャ人にとっては、
ギリシャ語すなわちことばであると同時に、
ことばすなわちギリシャ語だったのである。

 

ことばの旅、もう少し続けたい。

 

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