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2014年8月 2日 (土)

世界ことばの旅 (3)

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世界ことばの旅 (3)

- 数える時は体に結びつけて -

 

研究社の「世界ことばの旅」というCDからの
世界のことばの話、3回目。

Photo

 

【3-1 タガログ語】

フィリピンのルソン島南部を本拠地とする
フィリピンの2大言語(タガログ語とセブアノ語)の1つ。

文法の特徴として、
文の構成要素のいずれに焦点があるかによって
行為者・目的・場所・道具・受益者などを示す動詞が区分される

・・・

話題・所有・場所を示す3つの人称代名詞の一人称複数形
相手を含むか否かで、抱合型と除外形の別がある。

・・・

タガログ語は16世紀まではインド系の文字を使っていたが、
その後、
3つの母音文字を含む17文字を持つタガログ文字が使われ、
スペイン人が来てからはローマ字が使われている。

ここも文字が変遷している。
インド系文字 ⇒ タガログ文字 ⇒ ローマ字。

相手を含む・含まないの一人称複数形に関して言うと、
日本語でも「われわれ」の場合はどちらかが不明だが、
「手前ども」「あっしら」と言えば含んでいない。
ただ、

日本語の場合、語彙のレベルのことであるのに対して、
タガログ語では文法レベルのことである。

とのことで、語彙レベルとは違うことを指しているようだ。

 

【3-2 インドネシア語】

インドネシアは第二次世界大戦後、独立するが、
国内に200を越える言語と種族をかかえているので
共通語の確立は悲願である。

同国で最大の話し手を持ち、
古い文化を有するジャワ語が共通語でないことから分かるように
インドネシア語は理念の上での国語といえる。

「理念の上での国語」か。
最大の話し手を持つ言語が共通語になるとは限らないようだ。
それにしても国内に200を越える言語と種族を抱えているって、
法律や国会の議論はどうなっているのだろう...

 

【3-3 タイ語】

文法で目につくのはいわゆる類別詞で、
よく使う何十かを含めて200はあるという多さである。

1本、1枚、1冊と、いった類別詞の一種、助数詞は、
日本語にも相当数あるような気がするが、
実際にはいくつくらいあるのだろう。

いずれにせよ、外国語として日本語を覚える人にとっては、
かなりやっかいなもののひとつだろう。

例えばここでは、まぐろの数え方が紹介されている。

 

一方、今井むつみ著「ことばと思考」岩波新書には、
こんな記述もある。(以下茶色部引用)

 近年、日本では、モノの数え方が、伝統的な助数詞ではなく、
なんでも「つ」や「個」で代用することが多くなっている気がする。
その反動なのか、「数え方の辞典」のようなものも出版され、
話題になった。
しかし、それで助数詞の使い方の簡単化に
歯止めがかかっているようにも思えない。

これは中国語に比べて、日本語では、
助数詞の役割がそれほど大きくないからかもしれない。

一〇〇年後の日本語で、
助数詞は「つ」と「個」だけになってしまっているのだろうか。

 

【3-4 カンボジア語】

文法は名詞も動詞も全く変化しない。
ただ動詞にはアスペクトがある。

面白いのは数詞で、6から9までが失われたといわれ、
5プラス1、5プラス2・・・で示され、これは録音でもよく聞き取れる。
すなわち5進法である。
日本語にはカンボジアに由来する「カボチャ」があるほか、
「キセル」はカンボジア語からの借用といわれている。

アウストロアジア語族の200余りの言語のうち、
国語になっているのはベトナム語とカンボジア語のみで、
また文字があって古い記録があるのはモン語とカンボジア語だけなので、
カンボジア語の文化的重要性は明らかである。
文字はインド文字に由来する固有のクメール文字。

では、5進法に注意しながら
カンボジア語で1から10までを聞いてみよう。

私は、われわれが数を数えるとき十進法を使っているのは、
両手で指が十本あるからだ、と思っているので、
5進法というのは、片手の5本指を思うと、失われたというよりも、
それなりにreasonableな気がする。

指のように体と結びつけて数を数える、というのは、
10にしろ5にしろ、とにかくすごくわかりやすい。

数え方の進法に関しては、
二十進法が残っているフランス語の話などもよく聞くが、
上に紹介した今井むつみ著「ことばと思考」岩波新書には、
めずらしい数の数え方をもつ言語が紹介されている。

ンドム語というのはニューギニアの近くの
フレデリク・ヘンドリク島の言語だが、
この言語での数え方は、六進法に近い
(ただし18は6が基準でないので、純粋な六進法とはいえないが。)

1から6までそれぞれのことばがあり、
7は6と1、8は6と2、ということばで表現される。
この調子で11まで数えるが、
12になると、6×2、という言い方をする。

18は「トンドル」という一つの単語に戻り、
ここから18と1、18と2、となっていくが、
25からは18と6と1、18と6と2、というように
とても長いことばになってしまう。

30は18と6×2、31は18と6×2と1、ということばで数える。

このンドム語の場合などは
複雑ながら数のことばがあり、規則性がある。

 

ところが、このあと、驚くべき言語が登場する。

数のことばそのものを持たず、数を体に対応させ、
体の部位の名前を数の名前としている言語
も、
少なからず存在する。

例えば、パプアニューギニアのファス族の言語がそうだ。

この言語では、
左手の小指から数え姶め、薬指、中指と進んでいき、
指から手、手から腕、肩、首と行って、小鼻まで進むと、
これで私たちが言うところの18まで数えたことになる。

19が鼻先で、そのあと右の部位に移って、
今度はさっきと逆に上から下へ数え進めていく。
この言語では体の部位の名前そのものが、
その部位に対応する数のことばになる
のである。

つまり、
1は「最初の小指」、2は「最初の薬指」、ということばなのだ。
この数え方だと37までしかことばがないが、
38は「二度日の小指まで行って再び最初の小指」と数える。

84のような大きな数になると、
「二度目の小指まで行って、再び手を上がり、
 下がっていって、二度目の小指まで行って、
 再び手を上がって、上腕」
と表現するそうである。

いくら「体に結びつけて」が直感的にわかりやすいとはいえ、
これでは、小学校の算数の授業ですら
そうとうにやりにくいことだろう。

 

ことばの旅、もう少し続けたい。

 

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