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2014年5月

2014年5月31日 (土)

替えればすべてうまくいく?

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替えればすべてうまくいく?

- 原因はどこ? -

 

森繁久彌さんが、
三浦友和さん・山口百恵さんの結婚式でした素敵なスピーチについて、
前回書いた。

 

結婚式のスピーチと言えば、もうひとつ思い出すものがある。
落語家・立川志の輔さんが、自分が出た披露宴でこんなスピーチがあった、と
落語のマクラで紹介していたものだ。

「スカートとスピーチは短いほどいい」なんて言葉をよく耳にするが、
このスピーチはほんとに短い。

志の輔さんの再現で、わずか1分10秒!
創作落語の傑作「はんどたおる」の頭の部分。CDにもなっている。

 

新郎新婦、おめでとう。
ご両家のご両親様、まことに本日はおめでとうございます。

私、今、司会者の方にご紹介いただきました
新郎が勤務しております会社の社長をやっております。

私、新郎新婦に申し上げたいことは多々あるのでございますが、

あのぉ、
私事で恐縮でございますが、三ヶ月前に再婚をいたしまして、
まぁ、会社に行きますと、この歳をして
「新婚」「新婚」と冷やかされている毎日なのでございます。


まぁ、私、今、正直に思っていることを申し上げますと、その
「替えてみてもあまり変わりはなかった」と。


まぁ、新郎新婦もこれから山あり谷あり
いろいろなつらいことがあるとは思われますが
そのときには私の言葉を思い出していただきまして、
「替えてみても大差はないぞ」と言うことでございます。

簡単ではございますが...

 

結婚相手は替えたことがないのでわからないが、
これ、結婚相手だけの話ではないかも、とよく思う。

「コレさえ替えれば」と決めつけることで、
問題の原因がわかったような気になっている、ということはないだろうか。

   「コレのせいでちっともうまくいかない」

   「コレのせいなのだから、コレをアレに替えてみよう。
    そうすればガラリと変わってうまくいくはずだ」

もし、そう思うことがあるなら、
その時は替えてみる前にこの話を思い出してみよう。

 

替えてみればほんとに変わるの?

 

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2014年5月24日 (土)

靴の先を見なさい

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靴の先を見なさい

- 向田邦子さんが語る森繁久彌さんのスピーチ -

 

出張の際に出遭った「ロンドンの公園」の上空からの景色と、
それを見て思い出した本についてここに書いたが、
「ロンドンの公園」でもうひとつ思い出したものがあるので、
今日はその話を書きたいと思う。

 

山本夏彦さんの、
文壇に登場したときの驚きとその文章のすばらしさをひとことで言い切った名言
向田邦子は突然あらわれてほとんど名人である
と共に紹介されることが多い向田邦子さん。

脚本家として数々の名作ドラマを送りだす一方、
文章の世界で発表した「父の詫び状」は、ほんとうに素晴らしいエッセイ集だった。

「父の詫び状」が出版されてから、
51歳という若さで台湾の飛行機事故で亡くなるまでわずか3年。

その短い間にテレビドラマ「阿修羅のごとく」を発表したり、
直木賞を受賞したりと、振り返るとまさに駆け抜けていったような人生だが、
質の高いドラマと本を連発していたあの時期のことを思うと、
悲運に見舞われたことは残念でしかたがない。

今日は、向田さんにしては珍しい「講演」の記録からその一部を紹介したい。
事故で亡くなるその半年前、1981年の講演で、
「言葉が怖い」というタイトルでCDにもなっている。

話の内容だけでなく、
作家自身の声音(こわね)に触れることができるのが講演の魅力だ。

 

で、話しているのは、
三浦友和・山口百恵さんの結婚式での森繁久彌さんのスピーチについて。

30年以上も前の話なので、
三浦友和さんも山口百恵さんも森繁久彌さんも知らない、という
若い方も読者にはいらっしゃるかもしれないが、
若い人気俳優と人気歌手の結婚に際し、先輩ベテラン俳優が祝辞、の図で
考えていただければOK。

 

「ロンドンの公園」から話は始まる。

ロンドンの公園で、ベンチにすわってぼんやりしていたンだそうです、
森繁さんが。

そうしましたら、「隣に六十ぐらいのお婆さんが」ってこの言い方は
ちょっとおかしいと思うんですよね。

森繁さんは六十八で、自分は若いと思ってて、
「六十のお婆さん」って言う言い方はほんとにけしからんと思うンですけど、
まぁ、これは大正生まれの男の方ですから勘弁することにしまして、
六十ぐらいの、そのお婆さんが編物をしていた、って言うンですね。

で、その人が、いきなり森繁さんをつっついて
「ちょっと失礼」ってつっついて、
「あなたご自分の足の靴の先を見なさい。靴の先を見なさい」と言うンだそうです。

森繁さんが、えっ、と言うんで自分の靴の先を見て、
何かくっついているのかと思ったけれど、何もくっついていない。

「えっ」て言ったら、
黙って、あなた目を上げないで、自分の靴の先を見なさい、靴の先を見なさい

何か落っこているのかと思ったら落っこてない、って言うンですね。

「ロンドンの公園」「森繁さん」「六十くらいのお婆さん」「編み物」
絵になる組合せだ。
そこでの「自分の靴の先を見なさい」という言葉。

見ても、そこには何も付いてないし、落ちてもいない。
さて、さて、どういうことなのであろうか。

 

ひょっと顔をあげたらば、
ローレンス・オリヴィエが、女の方と腕を組んで歩いていた、って言うんですね。

まぁ、森繁さんもローレンス・オリヴィエだからハッと思って見ようとしたらば、

「靴の先を見なさい」と、

その隣の六十のお婆さんが、かなり命令口調で低い声で言ったんだそうです。

で、

「今、前を歩いている人達は、プライベートタイムなんだから、
 あなたは見てはいけない」

もちろんその人は、森繁さんが日本の役者だっていうことは全く知らないわけですね。

「見てはいけない。あなたは靴の先を見るべきだ」と言ったというンです。

「見るな」と言われれば、最初から見る気がなくてもムッとするかもしれない。
でも
「靴の先を見ろ」と言われれば、「なに?なに?」と謎の世界に引き込まれてしまう。
同じ動作を促す言葉なのに、聞く方の気分はぜんぜん違う。

 

森繁さんのスピーチは続く。

で、それから本論に入るわけですけれども、
自分はその話が、とても肝に命じて好きな話だ、と言うんですね。
嬉しかった。

皆さん、新聞記者の方も、ここにいる方も三浦さんご夫妻に対しては、

「靴の先を見てくれ」と。

もうコレ以上、新婚旅行だの、新居訪問だの、
子どもはいつだとか言って追いかけ回さないで、

「プライベートタイムには靴の先を見てくれ、ということをお願いしたい」

と言ったんです。


で、みんなたいへんに拍手したンですけれども、
現実はだれも靴の先を見る人はいなくて、
アパートまで押しかけて、騒いだりしておりますけれども。

そのスピーチは、三、四十人のかたがスピーチをいたしましたけれども、
圧倒的にやはり、短いスピーチでしたけれども、すばらしいスピーチで、

  皮肉もありますし、愛情もあるし
  まっ、追っかけられて困った自分の経験とか、
  外国でたしなめられた、しかもそれも
  「靴の先を見ろ」という非常に具体的な、
  プライバシーとか、そういう抽象的な言葉はひと言も使わないで

まっ、その場にたまたま居合わせたのかもしれませんし、
森繁さんのことですから、誰かに聞いたのかもしれないと思うんですけれども、
すばらしいスピーチだったと思います。


この話、有名芸能人夫婦を
無節操に追いかけるマスコミを諌める内容ではあるけれど、
そのことを百も承知のうえで、
個人的にはいつも全く別な意味で思い出してしまう。

「回りではいろいろことがあるだろうが、その度にキョロキョロしないで、
 自らが進む先をちゃんと見なさい」

「靴の先」がportionではなくdirectionをイメージさせるせいかもしれないし、
「ロンドンの公園」と「編み物をしているお婆さん」というシチュエーションが、
勝手な物語をつくることをなぜか許してくれるような気がするせいかもしれない。

 

いずれにせよ、
加熱しすぎていた報道に追いかけ回されていたあのお二人の結婚式で
この話ができるなんて、なんて素敵な方なンだろう、森繁さん。

2009年96歳で歿。51歳で事故で亡くなった向田さんとは違い、
こちらは大往生という言葉がぴったりの最期だったようだ。

「ロンドンの公園」の緑を思いながら、森繁久彌さん、向田邦子さん、に合掌。

 

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2014年5月17日 (土)

国を代表する紙幣に描かれていた女性は?

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国を代表する紙幣に描かれていた女性は?

- デュッセルドルフ半日街歩き -

 

4月上旬のドイツ、イギリスへの出張。

イギリスについてはここに書いたので、今日はドイツ・デュッセルドルフについて書きたい。
と言っても、観光ができたのは最終日の土曜日、帰りの飛行機が出発するまでの半日のみ。
なのでゆっくりというわけにはいかなかったが、それでも異国の空気をおおいに楽しむことができた。

 

デュッセルドルフの路面電車(シュトラーセンバーン/Strassenbahn) 

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この路線ではないが、今回の出張では、ホテルから職場への通勤にもこの電車を使った。

切符は自販機で買うが、料金がゾーン制となっているので
目的地がどこのゾーンに属するかなど、
外国人というか地理に疎い人にはかなり買いにくい。

路面電車なのに、こんな緑の中を走るエリアもある。

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ケーニヒスアレー(Koenigsallee) 

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中心にはきれいな堀、両側には緑の並木道。
沿うように高級店が並ぶショッピング通りがある。

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外の飲食店はまだ開店前で準備中。人通りも多く、ショッピングのメインストリートといった感じ。

 

ケーニヒスアレー(Koenigsallee)から歩いて「作曲家・シューマンの家」に行ってみた。 

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三階の位置にあるプレートによると、ロベルト&クララ・シューマン夫妻は
1852年9月1日から1854年3月4日まで、ここに住んでいたようだ。

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たった一年半という短い期間ではあるが、
どんな思いで過ごし、どんな作品を生み出したのだろう。

ライン川までも歩いてすぐの場所。
そう言えば、シューマンの交響曲第三番は「ライン」と呼ばれている。

一方、1854年、のちに救助はされるものの
自身の身を投げて自殺を図ったのもライン川だ。


シューマンの家、中庭の様子

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シューマンの妻は、ピアニストのクララ・シューマン。

通貨がユーロになる前のドイツ・マルク時代、
流通量の多い100ドイツマルク紙幣には、クララの肖像が使われていた。
裏には(ピアノとしてはヘンな)4本ペダルのピアノの絵が描かれている。
(これは画家の単純な間違いだったらしい)

初めてドイツに出張に行った時はまだマルクの時代で、
「100マルク紙幣に描かれている女の人はピアニストなんですよ」
と現地の人に教えてもらった。

過去の日本なら聖徳太子、今なら福沢諭吉、
今の米ドルならベンジャミン・フランクリンが描かれているところに
ドイツはピアニスト、クララ・シューマンを選んでいる。

「ピアニストとピアノを国の代表的な紙幣に使うなんて、さすがドイツ」
と思った記憶がある。

そう言えば、入り口のレリーフも、
シューマンひとりではなく「ご夫妻で」のレリーフになっている。

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ところで、
「だったら今のユーロ紙幣には誰が描かれているの?」
と思った方、いい質問です。

ユーロ紙幣をご存知の方、
誰の肖像画が使われているか思い出せるだろうか。
かなりの難問だ。

実は、今のユーロ7種類の紙幣には肖像画はひとつも使われていない。

まぁ、人を選ぶとなると、
それこそ関係各国の合意を得ることがむつかしいことは想像に難くないが。
というわけで、ユーロ紙幣には肖像画なし、が正解。

では、何が描かれているのか。

「ユーロ圏内の名所旧跡を連想させるような建造物」が選ばれている。

「時代と建築様式」がデザインのモチーフとなっているわけだが、
「連想させるような」に選択の苦しさが滲み出ている。
ヨーロッパにある橋や門の普遍的な要素を合成した架空の建造物らしい。

それこそ正真正銘、歴史のある建造物が数多く残っているユーロ圏なのに
どれもそのままは使われていない。
時代ごとの特徴だけを抜いた、きれいではあるけれど、ちからのない建造物の絵。
「ほんもの」があるがゆえに「架空」はちょっとさびしい。

 

シューマンの家の並びには、「マリオネット劇場」がある。
あやつり人形の専門劇場。
入り口のサインを見るとひと目でそれとわかる。

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入口横にはあやつり人形の実物が展示してあるのだが、
思わず引き込まれてしまいそうな妖しい魅力がある。

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上演作品のポスターも貼ってある。

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飛行機の時間の都合で残念がら観ることはできなかったが、
あの人形がどんな芝居をするのか興味がある。
セリフは理解できないが、今度機会があればぜひ観てみたい。


シューマンの家やマリオネット劇場のある通り(Bilker Str.)

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上にも書いた通り、ここからライン川までは歩いてもすぐだ。

 

ライン川沿いの家並み

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ライン川を往く貨物船

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ライン川沿いを南方向に向かって歩いていった。

 

ビュルガーパーク(Buergerpark)の先に見える巨大なガラス張りの建物

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そして、メディエンハーフェン(Medienhafen)地区に到着。

フランク・ゲーリー(Frank Owen Gehry)設計のメディア・ハーバービル

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「なんじゃこりゃ」の世界。

脱構築主義と呼ばれる建築は曲線が印象的なものが多い。
図面を書く方も、施工するほうも、こりゃたいへんなことだろう。

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ライン川の港地区には、メディア・ハーバービル以外にも
前衛的な建築が集まっている。

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このあたりの港地区、まだまだ再開発の途中という感じ。

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ライン川への小型船も港の一角に繋留されている。
本流からは一切見えない位置。

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ところで、前衛的な建物の並ぶメディエンハーフェン(Medienhafen)地区から、
この繋留エリアまでを「ライン川の港地区」と言って写真を並べてきたが、
「川の港」ってどんな地形? と思っている方もいらっしゃることだろう。

参考までにグーグルの地図を添えたい。
こんな感じで本流からはうまく分離されており、
本流の船の運行を邪魔することなく、港として機能するようになっている。
赤く囲ったエリアが上の写真、小型船が繋留されているエリアだ。
(クリックすると二回りほど大きく表示されます)

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ライン河畔、旧市街のほうへ向かってゆっくりと歩く。

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土曜日の昼時、川沿いはすでにビールを囲んで賑わっている。

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「世界で一番長いバーカウンター」という異名を持つ
有名なアルトシュタット(旧市街/Altstadt)へ。

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レストランや居酒屋が狭い一角にびっしりと並んでいるが、とにかくビールがうまい。
大きなジョッキではなく、200-300ccほどの小さめのグラスで何杯も飲む。

おかわりが来るたびに使い捨ての紙のコースターに線が書き込まれる。
飲んだ杯数を示す線の数をたよりにお会計。簡単かつreasonable。

現地に住む知人お薦めの、
屋外のテーブルが気持ちいい「Uerige」という店で飲んだアルトビールの味と

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「La Copa」で食べたスペイン料理の味は、いまでも忘れられない。

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旧市街の一角にある「ドイツの詩人・ハイネの生家」

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今はモダンな書店になっている。詩集専門の書店というわけではなさそう。

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ハイネの家の斜め前にあるKFC(ケンタッキー)。
古い建物をそのまま使っており、まわりに溶け込んでいる。

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旧市街から歩いて、「ホーフガルテン(Hofgarten)」と呼ばれる公園へ。

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ちょうど新緑の季節、陽が射すと緑がほんとうに美しい。
写真も特に色を加工したわけでもないのに、緑が浮いたような色に見えてしまうほど。

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そしてこの緑の道の先に、「ゲーテ博物館」がある。

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帰り道で見かけた新聞スタンド。ゴシップ誌(?)か表紙がケバケバしい。

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では最後に、デュッセルドルフでちょっと気になったものを・・・

【ちょっと気になったもの:1】

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デュッセルドルフのウーバーン(市電地下鉄/U-Bahn)
Ronsdorfer Str.駅のエスカレータと階段とエレベータ。

うまく写真が撮れなかったので、ちょっとわかりにくいが、
右側のエレベータは箱が階段に沿うように斜め左上方向に登っていく。
つまり、エスカレータの人も、階段の人も、エレベータの人も、
ほぼ同じところから登り始めて、途中お互いの顔を見ながら移動し、ほぼ同じ所に到着する。


【ちょっと気になったもの:2】

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デュッセルドルフのお手洗い。Flush(水を流すレバー、ボタン)に大小のような記述はない。
文字表記は一切ないが、ボタンの大きさに大小がある。


【ちょっと気になったもの:3】

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デュッセルドルフのドア。
こういう加工をなんと呼ぶのか名前がわからないが、
見かけるドアというドアにこの加工が施されている。
ピッタリ閉まるという点では有効だと思うが、
作るほうはかなり面倒なことだろう。

 

以上、デュッセルドルフでのスナップでした。

 

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2014年5月10日 (土)

World's Toughest Job (世界で最もタフな仕事)

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World's Toughest Job (世界で最もタフな仕事)

- Crazy! とまで言われる労働条件 -

 

公開されてからひと月近くが経っているため、すでにご存知の方も多いとは思うが、
アイデアに敬意を表して、このページでも紹介したいと思う。

World's Toughest Job (世界で最もタフな仕事)」と題された動画。

ネットと新聞に(嘘の)求人広告が掲載され、
それを見て応募してきた人が、ネット経由での採用面接を受ける。
その面接の様子、数人分を編集しただけのシンプルな動画。
面接官は仕掛け人だが、応募者はほんとうに応募してきた人らしい。

 

面接が始まる。
すると、面接官は厳しい労働条件を次々に提示し始める。

立ちっぱなしだの、週135時間以上上限なしの労働時間だの、
医学や財務や調理の知識も必要だの、休暇や睡眠時間はないだの、
クリスマスや新年にはさらに仕事が増えるだの、
しかもなんと給料はゼロだの・・・

あまりの条件に驚き、呆れる応募者。

 

それに対して面接官は
「でも、今この仕事についている人はいっぱいいる」
と言う。

思わず「誰が?」と聞き返す応募者。

それに答えた面接官の一言で、応募者の顔つきが一変する。

 

では、英語版と字幕版でどうぞ。(字幕以外は同一内容)

全編にわたって応募者の表情の変化が見どころなので、
表情に注目して見るためには、字幕がじゃまにならない英語版の方がお薦め。

World's Toughest Job 【英語版】

 

World's Toughest Job 【日本語字幕付き版】

 

 

 

 

「母の日」動画には、こういったベタなものもあるが、

「タフな仕事」は、アイデア、インパクト、余韻といった点で、
より強く印象に残る作品になっていると思う。

 

皆様、どうぞよい「母の日」をお過ごし下さい。

 

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2014年5月 3日 (土)

日英混在でも本の向きはそのままだったり、秘密の日記だったり

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日英混在でも本の向きはそのままだったり、秘密の日記だったり

- 英国の景色を眺めて -

 

4月上旬、出張でドイツとイギリスを回ってきた。

今回、ドイツ・デュッセルドルフからロンドン・ヒースロー空港へのフライトは、
午後のまだ明るい時間帯だったため窓側の席にしたのだが、
これは大当たりだった。

ヒースロー空港着陸直前、ロンドン中心部上空を大きく旋回するコースを取ってくれたのだ。
おかげで街の景色をおおいに楽しむことができた。

上空からの景色は「行ったことのある人向け」ではあるが、しばしお許しを。

(一度でも地上での観光経験のある街だと、上空からの景色もすごく楽しめるのに、
 未経験だと多少地理に詳しくても、ぼーっと眺めるだけになってしまうのは
 なぜなのだろう。

 実際に行った場所を上空からなんとか探しだそうとする集中力は、
 同時に別な楽しみをも運んできてくれるような気がする)

 

ロンドンが近くなってきた。
大きく旋回して、最初に見えてきたのはタワー・ブリッジだった。

ロンドン中心部(INNER LONDON)
中央がテムズ川、中央一番下に見える橋がタワー・ブリッジ。

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この橋は、ロンドンの観光用ポスターによく使われている。
そのせいか、この橋を「ロンドン橋」だと思っている人が多いが、
これは「タワー・ブリッジ」で「ロンドン橋」ではない。
ロンドン橋はタワー・ブリッジのお隣り、この写真で言うとひとつ上の橋になる。

ローカルな橋にもかかわらず「ロンドン橋」の名をだれもが知っているのは、
子どものころに歌った歌「ロンドン橋落ちた」が記憶の片隅にあるからだろう。

「ロンドン橋落ちた」は、イギリスの伝承童謡「マザーグース」のひとつ。

意味を考えながら読むと奇妙な歌の多いマザーグースだが、
それについて詳しく知りたければ、
平野敬一著「マザー・グースの唄 -イギリスの伝承童謡-」中公新書がお薦めだ。


40年以上も前に発刊された本なのに、いまだに版を重ねていることが
まさにその質の高さを証明しているとも言えるが、
この本、編集というかレイアウトの点でもほんとうにすばらしい。

参考までに「ロンドン橋落ちた」を含む2ページを選んでみた。
英文がでてくるページはすべてがこんな感じのレイアウトになっている。

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縦書の日本語の本文に、横書きの英語の原文が混在しているのに、
本の向きを変えることなくスラスラと読むことができる。

本作りのことはよくわからないが、このように組むことはきっとむつかしいのであろう。
本を縦にしたり横にしたりしながら読まずにすむ
こういったレイアウトには、ほとんどお目にかかったことがない。

内容の充実度だけでなく、英文混在での読みやすさ、自然さという点でも
ぜひ見習ってもらいたい良書だと思う。

 

「タワー・ブリッジ」に続いて見えてきたのはセントポール大聖堂。

ロンドン中心部(INNER LONDON)
中央小さな白いドームがセントポール大聖堂。CITYと呼ばれる金融街。

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真ん中に架かるウエストミンスター橋の左上がビッグベンのある国会議事堂。
左上に見える緑の中にバッキンガム宮殿。

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左側グリーン・パークと右側セント・ジェームズ・パーク、
そして中央にバッキンガム宮殿。

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2012年ロンドンオリンピックでのマラソンのゴール地点。
ちょうど真ん中にバッキンガム宮殿前のロータリーが見える。

セント・ジェームズ・パークと言えば、17世紀のイギリスの官僚ピープス氏は
この公園のことを「驚くほど色々な鳥のいる公園」と日記に記している。

サミュエル・ピープス(Samuel Pepys, 1633-1703)
ご存知だろうか? 彼は暗号を使って日記をつけていた。
それが後に解読され、本になって出版までされている。

臼田昭著 「ピープス氏の秘められた日記 17世紀イギリス紳士の生活」 岩波新書

「だれにも読まれない」を前提にしたら、人はいったい何を日記に書くのだろうか。
どんな経緯があるにせよ、それを本人の死後、解読して読もうというのだから、
決して趣味がいいとは言えないが、
飾らずに正直に書かれた日記というのは、めっぽうおもしろい。

ピープス氏は、一平民からイギリス海軍の統括責任者にまでのぼりつめた官僚で、
王立協会の会長まで務めたような人物だが、
日記に登場するご本人は、じつに人間味に溢れている。

ペストの流行やロンドン大火についてのリアルタイムでの記述は、
史料としての側面においても大きな価値があるが、
宮廷や上流社会を厳しい目で見つめる一方、芝居や酒の誘惑に弱く、
妻の目を恐れながらも自身の女性関係を赤裸々に、となると、
覗き見趣味的ゴシップとしても、おおいに楽しめる。

というわけで、たいへんおもしろい本なのに、こちらは残念ながらすでに絶版。
ご興味があれば、下のリンク先の中古か図書館でどうぞ。

 

ロンドン中心部を東から西へと飛んできたことになる。

ハイド・パーク

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私が地理的に追えるのはこのあたりがもう限界。
ハイドパーク手前、ロイヤル・アルバート・ホールが見えないか探してしまった。
近くで見るとあんなに大きいのに、さすがに上空からでは確認できなかった。

 

このあと飛行機はまっすぐヒースロー空港へ。
空港からは訪問先であるChertseyという街へ寄り道せずに向かったので、
今回、ロンドン中心部は「上空からの景色だけ」になってしまった。

ちなみに「ヒースロー空港」「Chertsey」「ロンドン」はこんな位置関係になる。
時間に余裕のない出張の中、この位置関係では「ついでにロンドンに寄る」というわけにもいかない。

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今日はロンドンの景色を見て思い出した、二冊の古い本の紹介まで。

と、終わりにしようと思ったのだが、
せっかくイギリスに上陸(!?)したので、
初めて訪問したChertseyという小さな街の様子を、少しだけ添えておきたいと思う。
観光地ではないため、観光のガイドブック等にもおそらく出ていないと思われるので。

 

【イギリスの街:Chertsey】

Chertseyの町並み 小さな商店が多い。

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住宅にもホテルにも、歴史を感じさせる建物が多い。

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今回利用したChertseyのホテル

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メインの通りから一本入ると、
正真正銘の「イングリッシュガーデン」と一般住宅が。

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町外れには、緑の美しいサッカーグラウンド
ほんとうにサッカーがよく似合う。

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そんな中、ちょっと気になった景色は・・・

【ちょっと気になった景色:1】

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これらは煙突だろうか? 注意して見ると多くの建物の上に並んでいる。


【ちょっと気になった景色:2】

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セブン-イレブンのような日米で見るコンビニはないが、こんなお店があった。
Chertseyのコンビニか。定休日なし、毎日朝6時から夜10時まで営業。


【ちょっと気になった景色:3】

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コンビニ、マクドナルドに代表されるファストフード、日本車、などなど
「あっ、日本と同じ!」というものは驚くほど目にしない。
KFCもスターバックスコーヒーもない。(もちろんその方がいいのだけれど)

そんな中、唯一目にした同一チェーン店。
右端の看板「Curves」。
日本でも「女性だけの30分健康体操教室」として、
最近あちこちでよく見かけるようになった。
それにしても、「色を含めたロゴ」のインパクトは大きいものだ。
紫色かつあの字体でなければ気がつかなかっただろう。


【ちょっと気になった景色:4】

Img_8308s

住宅街の入り口の車幅制限。
ただ、この写真でも感じられると思うが、
その先の住宅街の道は道幅も広く、結構ゆったりしている。
駐車場を含む広場もある。
車幅を制限するのには、幅以外の理由があるのかもしれない。


以上 Chertseyのスナップのオマケでした。

 

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