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2013年6月 2日 (日)

「いま、どこ?」

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「いま、どこ?」

- 人間、本当のことは、一回しか言わない。 -

 

いただいたコメントにドラマに関する部分があったので、今日は関連するネタで。

NHKのドラマ「第二楽章」。
話はもう終盤だが、第一話から板谷由夏さんの演技がすばらしい。

思い返してみると、板谷さんを最初に意識して見たのは、
内田けんじ監督の「運命じゃない人」という映画だった。

この映画、公開当時は全く知らなかった。
ある日、ラジオを聞いていると内田けんじ監督がゲストで呼ばれ、
次のような話をしていた。

 

(1) 「いま、どこ?」
高校卒業後、アメリカに映画の勉強に行っていたが、
日本に帰ってきたら携帯電話の普及率が一気にあがっていた。

あるとき、歩きながら電話をしている若者が
「いま、どこ?」
と言っている声が耳に入ってきた。

「いま、どこ?」って固定電話しかなかったころにはありえない会話だ。
固定電話に電話しておいて「いま、どこ?」と聞くことはない。

携帯電話になって突然登場したこの会話はおもしろい。
電話をしているけれど、相手がどこにいるのかはわからない。
すぐそばにいるのかもしれない。
この「いま、どこ?」を活かした脚本を書けないものか、と。

 

(2) 「おもしろい映画は予算じゃない」
日本に帰ってきてから、日本の映画関係者と話をすると、
「予算がないから」と
おもしろい映画が作れないことを、制作費のせいにするような言葉を何度も聞いた。

おもしろい映画は予算で作るものではないはずだ。
「よし、それなら低予算でもこんなにおもしろい映画が作れるンだ、ということを
 見せてやろうじゃないか」

 

このふたつが強い動機となり「運命じゃない人」の脚本を書いたという。

ラジオを聞いた日の帰り、早速DVDを借りてきて観た。

なるほど。
「いま、どこ?」(実際のセリフは「おまえ、どこにいるんだよ」)も、
電話相手との位置関係も、
『そう来たか』という発想で作品に埋め込まれ、形になっている。

そして、もっとも重要な、かつもっともむつかしいであろう
「低予算でもおもしろい映画は作れる」もみごとに証明してみせている。

五人の登場人物の一晩の物語。
ちょっとした、なんでもないセリフも、実にうまく選んである。

アイデアとセリフ、構成の練り具合が絶妙で
肩肘張らずに楽しめるエンタテイメントとしてお薦め。

まさに創作。ゼロからこれを生み出せるなんて素晴らしい。
もちろん板谷さんも重要な役で大活躍だ。

 

なお、この映画、これからご覧になるという方は、
ストーリーや登場人物に関して一切の事前情報なしで観ることをお薦めする。

ネットでの検索はもちろん、
レンタル店でのパッケージの解説もすべてスキップしたほうがいい。

(というわけで、これまで通りamazonへのリンクは貼っておきますが、
amazonのカスタマーレビューも、もし読むなら見終わってからゆっくりどうぞ。)

 

なお、内田監督、高橋酒造株式会社の15秒のCMの演出も手がけている。
各編「人間、本当のことは、一回しか言わない」のコピーが活きている。
もし、ご興味があればこちらもどうぞ。
(右側で選んで、左側の三角マークで再生。全部で13本)

 

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