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2013年3月 3日 (日)

震災から丸二年

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震災から丸二年

- その時、首都圏も凍りついた -

 

3月になった。東日本大震災から丸2年。

東京大学空間情報科学研究センター「人の流れプロジェクト」が、
携帯電話のGPSデータを使って人々の流動状況を動画で表現しているが、
これを見ると「あの瞬間」、首都圏でも人々が凍りついてしまった様子がよくわかる。

 

混雑統計データ(R)による東日本大震災当日の人々の流動状況

 

情報システムの世界では、「ビッグデータ」がひとつのはやりだ。
この動画も、まさに震災時のビッグデータ処理から生まれた。

携帯通信網やインターネットといった通信インフラの発達、
メモリやHDDの大容量化、低価格化、
CPUを始めとしたハードウェアの高速化、
さらに、カメラやGPSといったセンサチップの小型化、低価格化、
こういった条件が揃ったことで、大量のデータが比較的簡単に集められるようになった。

もちろん、集めただけでは利用できないので、そこから価値ある情報を探し出したり、
あることが起こっていることを瞬時に把握したりといった、
データマイニングやイベント処理の技術も急速に進歩している。
メモリ上での処理はもちろん、並列分散処理やグリッド・コンピューティングなど、
ホットな分野ゆえ目の話せない技術の話題も多い。

一方で、
「分散コンピュータシステムにおけるデータ複製において、
 一貫性(Consistency)と可用性(Availability)と分断耐性(Partition-tolerance)の
 3つを同時に保証することはできない」
というCAP定理が証明されてしまったり、論理的なアプローチにもおもしろいものがある。

 

ビッグデータに関しては興味深いアウトプットが出てくる一方で、
「データを集めればいいってモンじゃないでしょ」と突っ込みたくなるような動きもある。

和食を中心にした某レストランチェーンでは、
仲居さんの帯に加速度センサを付け、リモートで行動を分析し始めたらしい。
立った、座った、までわかると言う。
これで、「疲れていないか」「サボっていないか」といったことだけでなく、
お客様の満足度との関係も掴みたいのだとか。

 

話が横道にそれてしまったが、
最新技術により、必要なデータを集めて抜いてくることができたとしても、
最終的にそれをどう表現するか、の部分は、確立したなにかがあるわけではなく、
まさにそれぞれの「表現者」による「表現」だ。

震災関連でも、震源と時刻、規模と深さ、発生頻度の5要素を同時に把握できるように
独自の工夫をした動画もUpされている。

 

2011年の日本の地震 分布図

 

2011年の世界の地震 分布図

 

位置と時刻と規模と深さのデータをこんなにわかりやすい方法で表現できるなんて。

ただ、すばらしいとは思いつつ、震災関連の動画で繰り返し見てしまうものは、
やはり単にデータを可視化したものではない、「人の声」が訴えかけてくるものだ。

救援に感謝する「ありがとう」の言葉の余韻、
震災直後の選抜で選手宣誓をする野山主将の「なまの声の力」、
伝えたいものがあるときの人の声には、なにものもかなわない。

 

Arigato from Japan Earthquake Victims 被災者からのありがとう

 

第83回選抜高校野球大会 選手宣誓 (創志学園 野山主将)

 

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