トルコ旅行記2012 (23) イスタンブール カーリエ博物館編
トルコ旅行記 2012/7/8-7/17 (旅行記の目次はこちら)
(23) イスタンブール カーリエ博物館編
2012年7月15日
城壁を見たあと、「カーリエ博物館」を見学する。
建物自体は、11世紀に正教修道院として建てられたもの。
「コーラ修道院」とも呼ばれるが、コーラとはギリシア語で「郊外」の意味。
市街からは少しはずれた、テオドシウスの城壁のそばにある。
建築後、増改築を繰り返したが、オスマン帝国の時代になるとモスクに改装されてしまう。
モスクへの改装にあたっては、
聖堂内部の装飾が麻布と漆喰によって塗り込められ、
メッカの方向を示すミフラーブが作られ、
ミナレットが追加され、とアヤソフィアと同じような対応が取られている。
20世紀、トルコ共和国になってから、漆喰が剥がされ、
その美術的価値が認められて博物館となった。
正教会からモスクに、そして博物館に、という経緯もアヤソフィアと同じだ。
ただ、建物の大きさというか規模はずっとずっと小さい。
それでも、旧市街の中心地から少し離れたこの博物館に、
多くの観光客が訪れるのは、その中身、特にモザイク画とフレスコ画の質と量が
まさに圧倒的にすばらしいからだ。
【アナスタシウス(復活):フレスコ画】
イエスがアダムとイブを引き上げる場面。ビザンチン美術屈指の名画と言われている。
【聖母子と天使のドーム:フレスコ画】
正教とイスラム教がぶつかった歴史のある場所ではよく見かけるが、
イコンの目や顔は傷つけられていることが多い。
【最後の審判:フレスコ画】
聖堂の内陣にあるモザイクに寄ってみる。どなたの足もとかと言うと・・・
【ハリストス(キリスト):モザイク画】
【生神女就寝(コイメシス・眠りの聖母):モザイク画】が扉口上部にある。大理石も美しい。
窓枠にもモザイクによる装飾が。
【聖母とキリスト:モザイク画】
ここまで拡大しても、モザイクであるかどうか、わからないほどなめらかな顔の表現。
モザイクで描かれている場面は全部で180以上。ビザンチン美術の傑作と言われているのもうなずける。
多くのモザイク画は13~14世紀にかけてのもの。
一部剥がれてしまっているものもあるが、どの作品もすばらしく、密度が濃い。
ただ、狭いところで上ばかり見上げているので、首が痛くなってしまう。
14世紀にこれらのモザイクを追加製作させたのは、テオドル・メトキテスという
宰相にまでなった上流階級出身の人物だが、彼は後に失脚して全財産を没収され、
修道士としてここで余生を送ったという。
ミュージアムショップの上にもモザイク画。店用の飾りではなく本物。
本物のモザイク画の下に店を作っている。
小さいけれど、ほんとうに見応え充分の博物館だった。
博物館の前には、こんな雰囲気のいいレストランが。水タバコを楽しんでいる人もいる。
再び路線バスに乗り市街地まで戻ってきた。
夕食は、最後の晩なので、少し落ち着いた感じのレストランに入った。
まずはエフェスビールでこの旅行に乾杯し、食事に合わせてトルコワインでも、なんて考えていたのだが、
ロカンタ(大衆食堂)などに比べるとずっとおしゃれな店なのに、メニューを探しても酒類がない。
聞くと
「アルコールは一切おいてないンです」
「えぇ!」
そう言えばここは位置的にモスクのすぐそばだった。しかたがない。これもまたトルコならでは制約だ。
料理だけをじっくり味わいましょう。
料理はどれも申し分なし、◎。 最後はトルコ・コーヒーと甘いデザートで。
食後、夜のブルーモスクを見に行く。ライトアップされていて、夜は夜で美しい。
アヤソフィアも正面に見える
夜のアヤソフィア
トルコ旅行最後の夜が更けてゆく。
今日はここまで。
お別れに、ちょっとだけ技術系のネタを。
この写真はカーリエ博物館で撮ったものだが、カーリエ博物館に限らず、
こんな観光ガイドをイスタンブールではよくみかけた。
アプリケーションのインストールが必要なようだが、スマホで展示物前にあるQRコードを読むと、
その説明が聞けるというもの。
ここイスタンブールでも、iPhoneの普及率というか見かける率はほんとうに高く、
スマホを利用した観光ガイドも、いまや特別なものではないのかもしれない。
と同時に、日本発の規格ながら海外ではあまり使われていないとずーっと言われていたQRコードを
こんなインターナショナルな観光地の、一番目立つ場所でたくさん見かけるようになるなんて・・・
(24) イスタンブール ヒッポドローム編に続く。 (旅行記の目次はこちら)
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