トルコ旅行記2012 (7) カッパドキア 気球ツアー編
トルコ旅行記 2012/7/8-7/17 (旅行記の目次はこちら)
(7) カッパドキア 気球ツアー編
2012年7月12日
朝4:45、早起きしてツアーバスを待つ。
朝焼けのギョレメの街
気球の準備が進んでいるのも見える。
朝早いのに各社ツアーバスが次々とホテルにやって来て、客を拾っていく。
夜明け前の澄んだ空気が気持ちいい。
我々が予約したツアーはちゃんと来てくれるだろうか。
個人で動くと常にこういう不安からは離れられないが、
起こる前から心配だけしていてもしかたがない。
「なにかあったらそのときに考えよう」
来た! 4:47 ぴったりじゃないか。
【気球ツアー】
まずは気球会社の待合室に。
ミニバスで各ホテルから集められた客は100人以上。
ゴンドラ別のグループ分けの間、簡単な朝食が振舞われる。
このグループ分けには色を使っていた。
これまた文字を使わずにコミュニケーションがとれる世界共通言語。
こういう気球会社がここギョレメにはいくつもある。
グループ別に再度バスに乗り、出発地点を目指す。
出発地点では、多くの気球が準備中。
ボォッーというバーナーの炎の音が思った以上に大きく迫力がある。
パイロットは、4つのバーナーと天頂部の排気弁をコントロールするロープだけを使って操縦する。
ゴンドラは籐で編んだようなカゴ。
着陸時にショックを吸収するというメリットがあるらしい。
着陸時の姿勢について最初に簡単に指導がある。
ひとつのゴンドラに約20人。かなり大きなゴンドラだ。
いよいよ離陸。ぐんぐん上昇するが加速感はない。
視界がどんどん広くなると同時に、回りの気球の数に驚く。
正確には数えられないが、数十。
見慣れたロゴでHISと大きく書かれた気球もある。
ビルと呼べるような建物が一切ない石の街を覆う澄んだ空気が美しい。
離陸直後、日が昇ってくる。
気球の影が谷の斜面にうつる。
朝日に照らされた渓谷と奇岩の色は言葉にならない。
前日、徒歩で登ったウチヒサルもよく見える。
一段落したころ、ゴンドラのセンタに乗って気球を操縦している女性パイロットが自己紹介を始めた。
最初に自分の名前の紹介。続いて、気球の操縦歴が15年になることを話しているが、
なんだか妙に自信たっぷりで余裕が感じられる。
この自信、口だけではなかった。
高く昇って全体の雄大な景色をゆっくり見せてくれたあと、
ゴンドラは高度を落として谷に入っていく。
もうゴンドラの底が谷の岩や草木に触れそうなほど低く。
皆を低空でビックリさせたあと、そのギリギリの高度を維持しながら
今度はV字の谷の斜面に沿うようにゆっくりと斜め上方向に上昇していくのだ。
垂直方向はバーナーと排気弁、水平方向は完全に風まかせ。
なのにまさに意のままに動かしているようにしか思えない。
斜面の洞窟も谷底の木々も手に取るように間近に見える。
バーナーとロープと風との絶妙なコンビネーション。ほんとうに素晴らしい。
こんなに細かいコントロールができるものなのだろうか。
この景色は、飛行機はもちろんヘリコプターでも無理だ。
気球に乗ることを「高いところから景色を眺めるだけなら」と単純に思っていたことは大間違いだった。
バーナーによる熱を使っているとはいえ、外気との比重の違いだけで生じている浮力、
進行方向については100%風まかせ、この「無理をしていない」おだやかな自然との一体感が、
飛行機などにはないリラックス感を生み出している気がする。
シートベルトすらしていないのに、安全への不安感は驚くほどない。
それどころか「流れにまかせて」は、体のいろいろな部分の緊張を解きほぐしてくれるような気さえする。
約一時間の遊覧飛行。まだまだ漂っていたかったが残念ながら着陸だ。
トランシーバーで連絡をしていたので、着地点にはゴンドラを運ぶトレーラが待機していた。
するとなんと、このトレーラの上に直接着陸しようというのだ!
夢中になって下を見ていたので写真を撮り忘れてしまったが、
ほとんど衝撃もなく、ほぼ完璧に着陸した。
降りたあと写真を撮ったので、見て欲しい。
このトレーラの上に約20人が乗った風まかせのゴンドラを、向きまで合わせてピタリと着地させたのだ。
谷での絶妙なコントロール、トレーラの上にピタリと着陸する技、
いゃぁ、参りました。
余裕綽々の話しぶりだけでなく、
仕事ぶりで「どうだ」とその実力を示せる姿はほんとうにカッコイイ。
地上の待機組からは、気球をたたむ作業者が飛び出してきて、
手際よく気球の後片付けを始めた。
彼らが忙しく働いているわきを、パイロットは仕事を終えて、ゆっくり帰ろうとしている。
引き止めるように走って行って彼女と一緒に写真を撮っている乗客もいる。
乗客全員の大きな拍手で見送られるパイロット。
拍手に応えるように振り返って皆に言った。
「私の名前は!」
大きな声で問いかける質問も姿もニクイ。
景色のすばらしさだけでなく、パイロットにこんなに楽しませてもらえるなんて。
着陸後、皆でシャンパンで乾杯をしたが、ほんとうに心から「乾杯したい気分」だった。
みんな彼女のおかげだ。意外な体験の余韻にちょっと酔った。
これまでの回に書いた通り、数回の値切り交渉の末に到達した気球ツアーではあるものの
今回はいいパイロットにあたり、結果としては運がよかったのかもしれない。
気球ツアー、日本で事前検討していたときは、実は参加するかどうするかちょっと悩んでいた。
そもそも妻は「高くて怖い」にめっぽう弱い。
さらに、いくら良くてもふたりで3~4万円はちょっと高くないか。
でも、参加した人の感想をブログ等で読むと皆絶賛。
いゃー、思い切って参加してよかった。
料金がふたりで180ユーロ(1万8千円程度)に抑えられたのは偶然の要素もあるけれど、
あの景色とあの気球の動きは体験する価値大。
ちなみに、高いところに弱い妻も、なぜか恐怖感はまったくなかったもよう。
これはほんとうに楽しめる。お薦め。
ホテルに帰ってきてホテルのテラスで朝食。食事だけでなく空気もうまい。
トルコはドライフルーツも豊富。これはイチジク。
オムレツもその場で作ってくれるバッフェスタイル。
さあ、次はグリーンツアーだ。
今日はここまで。
お別れに、またまた暑さでバテテいる猫を。
(8) カッパドキア グリーンツアー編に続く。 (旅行記の目次はこちら)
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コメント
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いゃぁ、参りました。
余裕綽々の話しぶりだけでなく、
仕事ぶりで「どうだ」とその実力を示せる姿はほんとうにカッコイイ。
↑ 笑い
投稿: | 2013年1月23日 (水) 16時40分